第1回やんちゃだった僕を認めてくれた先生 居酒屋で一緒に泣いてくれた

[PR]

 「どうも、吉本興業の、かまいたち・濱家です」

 5月、元小学校教師の久保敬さん(60)の退職祝いの会で、こんなあいさつで始まる動画が前ぶれなくスクリーンに映し出された。

 お笑いコンビ「かまいたち」の濱家(はまいえ)隆一さん(38)によるメッセージ動画だ。思いがけない「来賓」の登場に、大阪市内の会場はどよめいた。

 「すごい生徒のことを細かく見てる」「僕たち生徒はそこをみんな喜んでましたね」。恩師の久保さんとの思い出を語る濱家さんの自撮り動画は5分近くも続いた。

 この「久保先生」が昨春、一躍有名になった出来事があった。大阪市立木川南小学校の校長として松井一郎市長らに対し、緊急事態宣言中の市立小中学校の学習方針を批判する「提言書」を書き送ったのだ。

 現職校長としては異例の行動。市教育委員会から文書訓告を受けたが、その後も児童や保護者、同僚からの信頼は変わらず、今年3月に惜しまれながら定年退職した。

 その久保さんが1994~95年度に担任を受けもった小学生の一人が、濱家さんだった。

 6月中旬、そろって朝日新聞の取材に応じた2人に当時を振り返ってもらった。

 《僕は、宿題もせえへんし、教科書も持っていかへんし、ほんま手ぶらで学校行くようなやつやったから》

 大阪市東淀川区の市立豊里小学校に通っていた濱家さん。幼い頃に両親が離婚し、4年生まで母、姉との3人暮らしだった。

オカンの前で「片親やから、ぐれるのしゃあないですわ」

 《家での出来事は僕、うっす…

この記事は有料記事です。残り2756文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    おおたとしまさ
    (教育ジャーナリスト)
    2022年7月24日20時41分 投稿
    【視点】

    「ようかばいきれんかったんすよね……」と濱家さんが言ったのを聞いて久保先生が流した涙の意味は? それを考えさせられるという意味で、深い、とてもいい記事だと思います。 以下は、私の「考察」です。久保先生は、特にヒロシ君のためを思って、2

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    島沢優子
    (ジャーナリスト・チームコンサルタント)
    2022年7月25日10時31分 投稿
    【視点】

     読んでいる途中から涙が止まらなくなった。 「まあ片親やから、ぐれるのしゃあないですわ」  この言葉がどれだけ濱家さん母子を傷つけたことだろう。十数年前。私に夫はいた。だがワンオペで目が回るような日々の中、小学生だった息子が友達とけんか

    …続きを読む